Wanon 2本目

 Wanon 2章 相沢、部屋の荷物整理



「ん?」
 荷物の中に見覚えの無い物を発見した。
「これは……」
 それは長い布の様だ。少し汚れていて、ところどころ赤黒いシミが付着している。
「ターバン?」
 しかし、それなら何故サーベルが無いのか。
「まあ、いいか。」
 俺はターバンをベッドの下にしまうことにした。



 Wanon 3章 華やかな目覚め



「あの娘、朝は弱いのよ。祐一さん、起こして来てくれないかしら?」
「わかりました。」

 と、いうわけで、俺は名雪の部屋に来ていた。とりあえず、毛布をはぎ取る。
 起きない。
 パジャマ姿の名雪は、その体のラインで発育のよさがうかがえ、こちらの犯罪心をくすぐる。
 今すぐ銭ゲバマスクをえべっさんのマスクにしたいという衝動を押し殺し、どうやって起こそうか思案を始めた。
 5秒をまたず、俺はセントーンを投下した。
 ベッドのギシギシときしむ音とともに、名雪は悲鳴をあげ跳ね起きた。
 そして、すぐさまカーテンレールを両手で掴み、それでバランスをとりながら両足で俺の顔面を踏みつけて来た。プッツンモードに突入している。
 俺は力ずくで狂犬化した少女を払いのけ、その頭部を脇の下にガッチリとロックする。そして、その頭頂部をカーペットに突き刺した。もちろん、合図として背中を叩くのを忘れてはいけい。
「うみゅう〜〜。」
 間抜けな声が上がる。
「起きろ、名雪。もう朝だ。」
 俺はそう言うと、名雪を引き起こし、一階へと連行した。



 Wanon 4章 登校



「ここが祐一の新しいマットだよ」
「そうか」
 教室中が外敵の出現に色めきたっているのがよくわかる。
「あなたが相沢君ね」
「誰だ、お前」
 前の席のマスクマンが声をかけてきた。しかし、名乗らないのでこちらも相応な反応を示す。
「私は美坂香里よ」
「私のタッグパートナーだよ」
 名雪が補足する。
「香里はね、すごいんだよ。Best of super Jrで全勝優勝したこともあるんだよ。シングルのベルトだって持ってるしね」
 なるほど、そのマスクについたゴツイ角と全身タイツは伊達ではないということか。
「名雪からいろいろと聞いてるわ。よろしく、相沢くん。それとも、SSマシーンと呼んだ方が良いかしら?」
「好きに呼んでくれ。よろしくな、獣神さん」
 何はともあれ、これから俺の新しい生活が始まるということだ。

 放課後、下駄箱にて。

「祐一、カッコいいからきっとモテるよ」
 無責任なことを言ってくれる。
「名雪、一緒に帰りましょう」
 美坂が俺たちに声をかけてきた。
「いいよ。祐一もいいよね?」
「ああ」
 俺が同意するのを認めると、美坂が笑みを浮かべ言った。
「よかった、敵に回したくないもの」
 それには俺も同感だ。しかし、その言葉は名雪の気にめさなかったようだ。
「大丈夫よ、名雪。あなたの恋人をとったりしないわ」
 この場合、恋人とはタッグパートナーの意味だ。

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